ITコンサルタントの愉快な一日

働き方

ITコンサルタントという職業に興味を持ち始めたものの、実際の仕事内容がよく分からず、転職に踏み切れないでいる方は少なくないだろう。

特に気になるのは、毎日の仕事の流れではないだろうか。システム開発の経験がある方であれば、朝から晩まで席に座ってコードを書いているイメージが強いかもしれない。

一方で、コンサルティングという言葉から、クライアントとの打ち合わせばかりが続くのではないかと想像する方もいるかもしれない。

そこで今回は、ITコンサルタントの1日の業務の流れを具体的に解説していく。仕事の実態を知ることで、自身のキャリアプランを考える上での判断材料としていただければと思う。

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ITコンサルタントの一日のスケジュール

ITコンサルタントの典型的な1日の過ごし方を理解することは、この職業の本質を知る上で重要な手がかりとなる。以下に、一般的なITコンサルタントの1日の主な活動内容を示す。

  • 午前中:
    クライアントの課題整理とチーム内での方向性の確認
  • 午後前半:
    システム要件の定義やベンダーとの調整
  • 午後後半:
    提案資料の作成とステークホルダーとの協議
  • 終業前:
    次のアクションの確認と1日の振り返り

それでは、それぞれの時間帯における具体的な業務内容を詳しく見ていこう。

午前中の過ごし方:課題整理とチームワーク

ITコンサルタントの1日は、通常、朝9時前後から始まる。オフィスに到着してすぐに、その日の優先タスクを確認し、チームメンバーと簡単な打ち合わせを行う。この時間帯は、比較的静かな環境で集中して作業できることが多い。

クライアントから前日までに届いたメールやチャットの確認も、この時間帯の重要な作業となる。問い合わせ内容を整理し、必要に応じて社内の専門家に相談する準備も進める。

チーム内での情報共有ミーティングは、通常10時頃から始まる。ここでは、各メンバーが担当している案件の進捗状況を報告し、互いに助言を行う。この過程で、新たな視点や解決策が生まれることも多い。

時には、クライアント企業の朝会にオンラインで参加することもある。これにより、クライアント側の最新の状況や課題を直接把握することができ、その後の提案活動に活かすことができる。

プロジェクトの状況によっては、午前中からクライアント先に訪問することもある。その場合は、移動時間を有効活用して、メールの返信や資料の確認を行う。

午後前半の業務:システム要件定義とベンダー調整

午後の業務は、通常13時頃から本格的に開始される。この時間帯は、システム要件の定義やベンダーとの調整に多くの時間が割かれる。

まず、クライアントの業務プロセスを詳細に分析し、システム化すべき範囲を特定する。この作業では、以下のような点に注意を払う。

  • 現行システムの課題と改善ポイント
  • 新システムに求められる機能要件
  • セキュリティ要件と運用面での制約
  • コスト面での制約事項

要件が整理できたら、システムベンダーとの打ち合わせを行う。ここでは、技術的な実現可能性や開発スケジュール、概算費用などについて具体的な協議を進める。

複数のベンダーと並行して調整を進めることも多い。その場合は、各ベンダーの提案内容を比較検討し、クライアントにとって最適な選択肢を見極めていく。

この時間帯は、クライアントの担当者との個別の打ち合わせが入ることも多い。現場レベルでの細かな要望や懸念事項を丁寧にヒアリングし、システム要件に反映させていく。

午後後半の取り組み:提案資料作成と関係者との協議

16時頃からは、提案資料の作成やステークホルダーとの協議に重点を置く時間となる。この時間帯は、午前中からの議論や調整の内容を形にしていく重要な時間である。

提案資料の作成では、以下のような要素を意識しながら作業を進める。

  • クライアントの経営課題との関連性
  • 提案するソリューションの具体的なメリット
  • 実装に向けたロードマップ
  • 概算の費用と期待される効果
  • リスク要因と対策案

作成した資料は、社内のレビュー担当者に確認を依頼する。経験豊富な上司やチームメンバーからのフィードバックは、提案の質を高める上で欠かせない。

この時間帯には、クライアント企業の経営層や関連部門の責任者との会議が設定されることも多い。提案内容について説明を行い、具体的な議論を交わす。

時には、複数の関係者の意見が対立することもある。そのような場合は、それぞれの立場や考えを理解した上で、建設的な方向に議論を導いていく必要がある。

終業前の締めくくり:振り返りと準備

日の終わりは、1日の活動を振り返り、翌日以降の準備を整える時間となる。この時間を効果的に使うことで、次の1日をスムーズにスタートできる。

具体的には、以下のような作業を行う。

  • その日の会議録や決定事項の整理
  • クライアントへの連絡事項の確認
  • 翌日の予定と準備すべき資料の確認
  • チームメンバーとの情報共有

特に重要な点は、その日のうちに対応すべき事項を残さないことである。クライアントからの問い合わせや依頼に対しては、少なくとも受領の確認と対応予定時期を連絡しておく。

ITコンサルタントの働き方を考える

ITコンサルタントの日常を見てきたが、「常にクライアントの要求に振り回されるのではないか」「技術力が低下するのではないか」といった不安を感じる方もいるだろう。

確かに、クライアントからの急な要望や予定変更への対応を求められることはある。また、自身の手でコーディングを行う機会は、システム開発者として働いていた時と比べると減少する。

しかし、これらの変化は、むしろキャリアの幅を広げるチャンスと捉えることができる。クライアントとの関係構築を通じて、コミュニケーション能力や課題解決力が磨かれていく。また、複数のプロジェクトに関わることで、さまざまな技術や業務知識を習得できる。

むしろ重要なのは、このような環境の中で自身の強みをどのように発揮し、成長させていくかという視点である。技術力を活かしながら、ビジネス課題の解決に貢献できる存在となることで、より大きな価値を生み出すことができる。

そのためには、日々の業務の中で意識的に学びの機会を作っていく必要がある。技術のトレンドをウォッチし、新しい知識の習得に努めることは、ITコンサルタントとして成長する上で欠かせない要素となる。

ITコンサルタントという選択

これまで見てきたように、ITコンサルタントの仕事は、技術とビジネスの両面からクライアントの課題解決に貢献する、やりがいのある職種である。

日々の業務は、確かに変化に富み、時には予期せぬ課題に直面することもある。しかし、そのような環境だからこそ、自身の成長を実感できる機会も多い。

技術者としての経験を活かしながら、より広い視野でビジネスに関わっていきたいと考える方にとって、ITコンサルタントは魅力的なキャリアパスとなるだろう。ぜひ、自身のキャリアの選択肢として、真剣に検討してみてはいかがだろうか。

プロフィール
s-spice

大学卒業後、日系SIer(システムインテグレーター)にてSEとしてキャリアをスタート。その後、外資系ITコンサルティングファームへ転職し、現在はデジタルトランスフォーメーション(DX)案件をリード。

社会人7年目で年収1,000万円を達成。採用面接官としても活動し、数多くの未経験者やキャリアチェンジ希望者の転職支援を行う。

自身の経験を基に、ITコンサルへの転職成功のための具体的なアドバイスや、業界の最新動向をこのブログで発信。未経験でもITコンサルに挑戦したい方へ向け、実践的で役立つ情報を提供します。「転職を決めたあの日の自分に教えたい」、そんな思いでこのブログを運営しています。

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