社内SEからITコンサルに転職する最も簡単な方法

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多くの社内SEが、より高い年収や幅広いキャリアパスを求めてITコンサルタントへの転職を考えている。しかし、実際に一歩を踏み出すのは簡単ではない。

プロジェクトマネジメントの経験が不足しているのではないか、顧客折衝のスキルは十分なのか、そもそもコンサルティングファームは社内SEからの転職者を採用してくれるのか。そんな不安や疑問を抱えている方も多いだろう。

しかし、実は多くのコンサルティングファームが、社内SEの経験者を積極的に採用している事実がある。なぜなら、社内SEは現場の課題を熟知しており、顧客企業の立場に立って最適なソリューションを提案できる存在だからである。

この記事では、社内SEからITコンサルタントへの転職を実現する具体的な方法について解説する。

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社内SEからITコンサルに転職する最も簡単な方法

ITコンサルタントへの転職を実現するためには、戦略的なアプローチが必要である。ただやみくもに転職活動を始めても、望む結果を得られない可能性が高い。

以下に、最も効果的な3つのステップを示す。

  1. 社内で提案型の業務にシフトし、コンサルタント的な実績を作る
  2. SIerの上流工程部門への転職を経由する
  3. 2~3年の経験を積んでから大手コンサルティングファームに応募する

これらのステップを着実に実行することで、社内SEからITコンサルタントへの転職を、最短かつ確実なルートで実現できる。以下、各ステップについて詳しく解説していく。

①社内で提案型の業務にシフトし、コンサルタント的な実績を作る

まず最初に取り組むべきことは、現在の社内SE職においてコンサルタント的な実績を作ることである。具体的には、システムの運用保守だけでなく、業務改善や新規システム導入の提案など、より上流工程に関わる経験を積むことが重要である。

多くの社内SEは、日々のシステム運用や保守に追われ、新しい提案を行う余裕がないと感じているかもしれない。しかし、むしろそれは大きなチャンスである。

なぜなら、日常的な運用保守を通じて、現場の課題や非効率な業務プロセスを誰よりも把握できる立場にいるからだ。

この強みを活かし、まずは小規模な改善提案から始めるとよい。具体的には、以下のような取り組みが効果的である。

  • 運用効率化のための自動化ツールの導入提案
  • 部門横断的な業務プロセスの見直し案の作成
  • 新規システム導入による業務改革案の策定
  • コスト削減につながるシステム構成の見直し提案

こうした提案を行う際は、単なる技術的な改善にとどまらず、経営的な視点も含めることが重要である。具体的には、投資対効果(ROI)の試算や、導入後の運用コスト削減効果の予測なども盛り込むようにする。

また、提案内容を経営層にも理解してもらえるよう、専門用語を極力避け、ビジネス目線での説明を心がける。この経験は、将来ITコンサルタントとして活動する際に大きな財産となる。

②SIerの上流工程部門への転職を経由する

次のステップは、SIerの上流工程部門への転職である。このステップを経由することで、コンサルティングファームへの転職をより確実なものにできる。

なぜSIerを経由するのか。それは、SIerの上流工程部門では、要件定義やプロジェクト管理など、コンサルティングに近い業務を経験できるからである。また、複数のクライアントと関わることで、業界知識や折衝力も身につけることができる。

SIerの上流工程部門への転職を成功させるためには、以下のポイントに注意する必要がある。

  • 大手SIerの上流工程専門部署を狙う
  • 業務システムの知識を活かせる分野を選ぶ
  • プロジェクトマネジメント系の資格取得を検討する
  • 提案営業やPMO業務の経験がある企業を優先する

この段階での転職活動では、前述のステップ①で築いた提案型業務の実績が大きな武器となる。面接では、具体的な提案内容とその成果、さらには経営層とのコミュニケーション経験などをアピールするとよい。

また、この時点で既にITコンサルティングファームへの転職も視野に入れた準備を始めることが望ましい。具体的には、プロジェクトマネジメントやビジネスコンサルティングに関する書籍を読むなど、知識の幅を広げる努力を怠らないようにする。

③2~3年の経験を積んでから大手コンサルティングファームに応募する

最後のステップは、SIerでの経験を活かしてコンサルティングファームへの転職を実現することである。この段階では、これまでの経験を最大限に活用し、戦略的な転職活動を展開する。

SIerの上流工程部門で2~3年の経験を積むことで、以下のような強みを獲得できているはずだ。

  • 複数のクライアントとの折衝経験
  • 要件定義から設計までの上流工程の実践知識
  • プロジェクトマネジメントのスキル
  • 業界固有の課題や最新トレンドへの理解
  • 提案書作成や報告書作成のスキル

これらの経験は、コンサルティングファームが求める人材要件と高い親和性がある。面接では、具体的なプロジェクト事例を交えながら、これらの強みを効果的にアピールすることが重要である。

ただし、コンサルティングファームへの転職では、単なる技術力や実務経験だけでなく、より戦略的な思考力も求められる。そのため、以下のような準備も必要となる。

  • 経営戦略やデジタルトランスフォーメーションに関する知識の習得
  • 英語力の向上(グローバルファームの場合)
  • MBA取得の検討
  • ケース面接の対策(転職エージェントの面接対策を活用)

キャリアアップのチャンスを逃さないために

ここまでの説明を読んで、「そんなに時間をかけなくても、直接コンサルティングファームに応募すればいいのではないか」と考える方もいるかもしれない。確かに、運良く採用される可能性もゼロではない。

しかし、多くのコンサルティングファームは、提案経験や上流工程の経験が不足している候補者に対して慎重な姿勢を示す傾向がある。

なぜなら、顧客に対して高額な報酬を請求するビジネスモデルである以上、確かな実績と専門性を持つ人材でなければ、価値の高いサービスを提供できないからである。

そのため、段階的なキャリアアップを通じて、着実に実力と実績を積み上げていく方が、結果的には近道となる。また、この過程で得られる経験と人脈は、将来のキャリア形成においても大きな資産となるはずだ。

結論:戦略的なアプローチで転職を実現しよう

社内SEからITコンサルタントへの転職は、決して簡単な道のりではない。しかし、本記事で解説した3つのステップを着実に実行することで、確実に目標を達成することができる。

特に重要なのは、現在の立場でできることから始めることである。日々の業務の中で提案型の仕事を増やし、少しずつでもコンサルタント的な実績を積み重ねていく。その積み重ねが、次のステップへの扉を開く鍵となる。

最後に改めて強調したい。社内SEとしての経験は、決してマイナスではない。むしろ、現場の課題を熟知し、実装を理解している強みを活かすことで、より実践的なコンサルティングを提供できる可能性を秘めている。

ぜひ、自信を持って転職にチャレンジしてほしい。