オキザリソウとは?オキザリスとの関係も解説

小さくて可愛らしい花を咲かせるオキザリソウを見かけて、その魅力に心惹かれたことはありませんか。太陽の光とともに花を開き、雨の日には閉じるという特別な性質を持つこの植物は、ガーデニング初心者でも育てやすく、多くの園芸愛好家に愛されています。

そこで今回は、オキザリソウの基本的な特徴から育て方のコツ、さらにオキザリスとの関係まで詳しく解説します。この記事を読めば、オキザリソウの魅力を存分に理解し、あなたの庭やベランダでも美しい花を楽しめるようになるでしょう。

オキザリソウの基本的な特徴と性質

  • オキザリソウとは何か
  • オキザリソウの花と葉の特徴
  • オキザリソウの生育環境と分布

オキザリソウとは何か

オキザリソウは、カタバミ科カタバミ属に属する球根植物の総称です。世界中には800から850種ほどが存在し、南アフリカや中南米を中心に広く分布しています。日本には江戸時代末期に渡来し、現在では年間を通じて30種類ほどのオキザリソウの花を見ることができます。

学名はOxalisで、ギリシア語の「酸性」を意味するオクシスに由来しています。これは葉や茎にシュウ酸を含み、酸っぱい味がすることから名付けられました。園芸店では主に「オキザリス」という名前で販売されており、ハナカタバミという和名でも親しまれています。

オキザリソウは球根植物として分類され、チューリップのような鱗茎を持つものから、土中で茎が肥大する塊茎まで様々なタイプがあります。園芸種として流通している品種のほとんどは鱗茎タイプで、花が咲いた鉢植えや球根の状態で販売されています。

オキザリソウの花と葉の特徴

オキザリソウの最大の魅力は、太陽の光に反応して花を開閉する性質にあります。日中の日差しを受けると杯状やロート状に大きく開き、夜間や雨天時には花を閉じます。この特徴により、まるで花が生きているかのような印象を与え、観察する楽しみを提供してくれます。

花色は白、黄色、ピンク、紫、オレンジなど非常に多彩で、複数の色が混じった複色の品種も存在します。一株にたくさんの花を咲かせるため、満開時には株を覆うように花が咲き、非常に見応えがあります。花の形は基本的に一重の整った形をしており、花弁が重なったように咲く種類が多いのも特徴です。

葉は多くの場合、クローバーのような3小葉の形をしていますが、4小葉や5裂、さらには10数裂するものもあります。葉色も緑だけでなく、シルバー系や紫色など変化に富んでおり、カラーリーフとしても楽しめる品種があります。

オキザリソウの生育環境と分布

オキザリソウは元々、南アフリカや中南米の熱帯、亜熱帯、温帯地域に自生している植物です。種類が多く分布地も広いため、性質や形態は非常に変化に富んでおり、中にはオキザリソウとは思えないような独特な形状のものも存在します。

日本においては、ミヤマカタバミなど6種が自生するほか、7種ほどの外来種が帰化植物として定着しています。現在園芸で栽培されている品種は主に海外原産のもので、気候の違いに応じて栽培方法も調整されています。

オキザリソウは基本的に日当たりと風通しの良い場所を好み、水はけの良い土壌を求めます。多くの種類が比較的強健で、適切な環境を整えれば放任でも良く育ちます。ただし、種類によって耐寒性や耐暑性が異なるため、育てる品種の特性を理解することが大切です。

オキザリソウとオキザリスの関係性

  • 名前の違いと由来
  • 園芸での呼び分けの実態
  • カタバミとの関係性

名前の違いと由来

オキザリソウとオキザリスは、実は同じ植物を指している名前です。「オキザリス」が学名のOxalisに基づく正式な呼び名で、「オキザリソウ」は日本で親しみやすくするために付けられた和風の呼び方となります。どちらを使っても間違いではありませんが、園芸業界では「オキザリス」という呼び方が一般的です。

学名のOxalisは、前述の通りギリシア語の「酸性」を意味する言葉から来ています。これは植物に含まれるシュウ酸に由来しており、実際にカタバミの葉で10円玉をこすると黒ずみが取れてピカピカになるのは、このシュウ酸の作用によるものです。

日本では古くから「ハナカタバミ」という和名でも呼ばれており、特に江戸時代末期に渡来した「ボーウィー」という品種がこの名前で親しまれていました。戦前戦後を通じて冬の鉢花として人気があり、どこの家でも日当たりの良い玄関先に飾られていたほど庶民に愛されていました。

園芸での呼び分けの実態

現在の園芸業界では、観賞用として栽培される品種を「オキザリス」、雑草や野草として扱われるものを「カタバミ」と呼び分ける傾向があります。植物学的には同じカタバミ科カタバミ属の植物ですが、園芸的な価値や扱い方によって名前を使い分けているのが実情です。

園芸店で販売されているのは主に海外原産の園芸品種で、花が大きく美しいものや葉色が特徴的なものが中心となっています。代表的な品種には、白に赤い縁取りの「バーシカラー」、ピンクの花の「桃の輝き」、黄色い花の「ペスカプラエ」、紫の葉の「トリアングラリス」などがあります。

一方、道端や庭に自然に生えてくるカタバミ類は、一般的に雑草として扱われることが多くなっています。しかし、これらも立派なオキザリス属の植物であり、小さいながらも可愛らしい花を咲かせる魅力的な植物です。

カタバミとの関係性

オキザリス(オキザリソウ)とカタバミは、植物学的には全く同じ分類に属する植物です。どちらもカタバミ科カタバミ属(オキザリス属)の植物で、学名もOxalisという同じ属名を持っています。つまり、カタバミもオキザリスの一種と言えるのです。

日本に自生しているミヤマカタバミは、清楚な白い花を咲かせる美しい野生のオキザリスです。また、帰化植物として定着したオオキバナカタバミやムラサキカタバミなども、元々は園芸植物として渡来したオキザリスの仲間です。

違いは主に園芸的な価値や栽培の目的にあります。観賞用として意図的に栽培されているものをオキザリス、自然に生えて雑草として扱われるものをカタバミと呼んでいるだけで、植物としての本質に違いはありません。どちらも太陽の光で花を開く特性や、クローバーのような葉の形など、共通した特徴を持っています。

オキザリソウの栽培方法と管理のコツ

  • 栽培に適した環境づくり
  • 植え付けから開花までの管理
  • 季節ごとの手入れ方法

栽培に適した環境づくり

オキザリソウの栽培を成功させるためには、まず適切な環境を整えることが重要です。日当たりの良い場所を選ぶことが最も大切で、日光が不足すると花が咲かなかったり、花が閉じたままになってしまいます。風通しも良い場所を選び、湿度がこもらないように注意しましょう。

土壌については、水はけの良い砂質土を好みます。鉢植えの場合は、赤玉土と腐葉土を7対3で混ぜた土に砂を3割程度加えると良いでしょう。市販の培養土を使用する場合も、排水性を高めるために砂を混ぜることをおすすめします。地植えの場合は、土が酸性に傾いていたら石灰を混ぜて中和しておきます。

オキザリソウは横に広がりながら成長する性質があるため、地植えの際は他の植物への影響を考慮する必要があります。増えすぎが心配な場合は鉢植えで育てることをおすすめします。鉢のサイズは9から12cm程度の標準鉢が適しており、根が張りやすいよう腐葉土を含んだ培養土を使用します。

植え付けから開花までの管理

オキザリソウの植え付け時期は、秋植え種と春植え種によって異なります。秋植えの品種は8月から10月にかけて植え付けを行い、9月から翌春にかけて開花を楽しめます。春植えの品種は3月から4月に植え付けて、春から夏にかけて花を咲かせます。

植え付けの深さは地植えで1から2cm、鉢植えでも同程度の浅植えにします。球根同士の間隔は地植えで5から10cm、鉢植えで2から4cm程度確保しましょう。植え付け後は発芽するまで適度な水分を保ち、発芽後は根がしっかり張るまでの1ヶ月程度は十分に水やりを行います。

発芽したら、生育初期から日光にしっかり当てて株元を丈夫に育てます。茎葉が軟弱にならないよう、その後の水やりは控えめにし、鉢土の表面が白っぽく乾いてから晴天時にたっぷりと与えるようにします。曇天や雨天時の水やりは根腐れの原因になるため避けましょう。

季節ごとの手入れ方法

春から初夏にかけては、オキザリソウの開花期となります。この時期は月に2回程度、薄めた液体肥料を水やり代わりに与えると花付きが良くなります。ただし、肥料を与えすぎると葉ばかりが茂って花付きが悪くなるため、適量を守ることが大切です。

夏場は秋植え種の多くが休眠期に入ります。気温が25から30度になり葉が黄ばんできたら水やりを停止し、雨の当たらない日陰で球根を休眠させます。この期間は完全に乾燥させるのではなく、土の湿り気を保ちながら管理することがポイントです。

秋から冬にかけては秋植え種の開花期となります。夜間の気温がマイナスになると葉が傷むため、12月上旬から3月中旬頃までは室内に取り込むか、霜除けをして保護します。春植え種は寒さで地上部が枯れて休眠に入るため、凍結しない場所で球根を保管します。病害虫はほとんど発生しませんが、長雨による根腐れと高温期の赤ダニに注意が必要です。

オキザリソウについてのまとめ

オキザリソウは太陽の光とともに花を開く魅力的な球根植物で、初心者でも育てやすい園芸植物として多くの人に愛されています。オキザリスという正式名称でも知られており、カタバミ科の植物として世界中に800種以上が分布する大きなグループの一員です。

この記事の要点を復習しましょう。

  1. オキザリソウとオキザリスは同じ植物を指す名前で、学名Oxalisに基づく
  2. 太陽の光で花が開き、夜間や雨天時には閉じる特別な性質を持つ
  3. 800から850種が存在し、花色や葉の形が非常に多様で変化に富む
  4. 日当たりと水はけの良い環境を好み、比較的育てやすい性質
  5. 秋植え種と春植え種があり、植え付け時期と開花期が異なる
  6. カタバミも同じオキザリス属の植物で、園芸的価値の違いで呼び分けられている

オキザリソウは季節ごとに異なる美しさを見せてくれる魅力的な植物です。適切な環境と管理方法を理解すれば、あなたの庭やベランダでも美しい花を長期間楽しむことができるでしょう。

参考リンク

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