育児休業を取得する際、最も気になるのが「育児休業給付金がいつ、いくら支給されるのか」という点ではないでしょうか。特に初回の支給については、産後の生活費を計画する上で非常に重要な情報です。
そこで今回は、育児休業給付金の初回支給が何ヶ月分なのか、また遅れた分がまとめて受け取れるのかについて詳しく解説します。支給時期や申請方法、新制度についても併せてご紹介しますので、安心して育児休業に入るための参考にしてください。
育児休業給付金の支給の仕組み
- 初回支給は2ヶ月分がまとめて受け取れる
- 支給スケジュールと申請期限について
- 新制度による給付額の変更点
初回支給は2ヶ月分がまとめて受け取れる
育児休業給付金の初回支給は、育児休業開始から2ヶ月分がまとめて支給される仕組みになっています。これは厚生労働省が定めた支給ルールであり、全国どこでも同じ取扱いです。
初回申請は育児休業開始日から4ヶ月経過する日の属する月の末日までに行う必要があります。例えば8月1日に育児休業を開始した場合、4ヶ月後の12月1日が属する月の末日である12月31日が申請期限となります。
実際の支給は申請から約1ヶ月後となるため、初回の給付金を受け取るまでに相当な期間がかかることを理解しておきましょう。女性の場合、産後休業後から育児休業が始まるため、出産から初回支給まで約4〜5ヶ月かかることになります。
支給スケジュールと申請期限について
育児休業給付金は2ヶ月ごとに継続的に申請手続きが必要で、毎回2ヶ月分ずつまとめて支給されます。初回以降の申請期限は、ハローワークから発行される「育児休業給付金支給決定通知書」に記載されています。
支給申請後の審査には約2週間かかり、支給決定通知書が届いてから約1週間で指定口座に振り込まれます。つまり申請から実際の振込まで合計約1ヶ月程度の時間が必要です。
申請期限を過ぎてしまった場合でも、2年の時効期間内であれば遡って申請することが可能です。ただし支給が遅れることになるため、会社の担当者と連携して期限内に確実に申請を行うことが重要です。
新制度による給付額の変更点
2025年4月から「出生後休業支援給付金」という新しい給付制度が創設されました。この制度により、従来の育児休業給付金67%に加えて13%が上乗せされ、最大28日間は合計80%の給付率となります。
出生後休業支援給付金の支給条件は、子の出生直後8週間以内に夫婦それぞれが14日以上の育児休業を取得することです。ひとり親や配偶者が自営業者の場合は、夫婦取得要件は求められません。
この新制度により、育児休業の初期段階での経済的負担が大幅に軽減されることになります。手取り相当の給付が受けられるため、安心して育児に専念できる環境が整いました。
申請手続きと必要書類
- 申請は原則として勤務先が代行する
- 初回申請に必要な書類一覧
- 本人申請が可能なケースと注意点
申請は原則として勤務先が代行する
育児休業給付金の申請手続きは、原則として勤務先の総務や人事部が代行して行います。これは申請に必要な賃金台帳や出勤簿などの書類を勤務先が管理しているためです。
勤務先が申請を行う場合、従業員は必要書類の一部を用意して会社に提出するだけで手続きが完了します。具体的には母子健康手帳のコピーや給付金振込先口座の通帳コピーなどが必要です。
手続きの流れをスムーズにするため、育児休業開始前に必要書類を早めに会社に提出することが大切です。これにより会社側も準備がしやすくなり、申請期限内の手続きが確実に行えます。
初回申請に必要な書類一覧
初回申請では「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」と「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」の提出が必要です。これらの書類は勤務先がハローワークから取り寄せて記入します。
従業員が用意する書類は、母子健康手帳など育児事実を確認できる書類のコピーと給付金振込先口座の通帳コピーです。マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類も必要になる場合があります。
勤務先が用意する書類には、賃金台帳や出勤簿、タイムカードなど賃金の支払い状況を証明する書類が含まれます。これらの書類を全て揃えて、勤務先の所在地を管轄するハローワークに提出することで申請が完了します。
本人申請が可能なケースと注意点
特別な理由がある場合や本人が希望する場合は、従業員自身がハローワークに直接申請することも可能です。ただし勤務先から賃金関係の書類を取り寄せる必要があるため、手続きが複雑になります。
本人申請を行う場合は、勤務先の協力を得て必要書類を確実に入手することが重要です。特に賃金台帳や出勤簿などは勤務先でなければ用意できないため、事前の調整が欠かせません。
電子申請システムを利用すれば、ハローワークに出向くことなく手続きを行うことができます。ただし必要書類の不備があると審査が遅れる可能性があるため、事前にハローワークに確認することをおすすめします。
支給額の計算方法と受給期間
- 給付率と支給額の計算方法
- 受給期間と延長の条件
- 育児休業中の就業制限について
給付率と支給額の計算方法
育児休業給付金の支給額は「休業開始時賃金日額×支給日数×給付率」で計算されます。休業開始時賃金日額は、育児休業開始前6ヶ月間の賃金総額を180日で割った金額です。
給付率は育児休業開始から180日目まで67%、181日目以降は50%に減額されます。例えば月収20万円の場合、180日目までは月額約13万4000円、181日目以降は約10万円の給付金が支給されます。
支給額には上限と下限が設定されており、2024年8月1日時点では上限額が月額約30万5000円(67%期間)、下限額が約5万3000円となっています。これらの金額は毎年8月1日に見直しが行われます。
受給期間と延長の条件
育児休業給付金の基本的な受給期間は、子どもが1歳になる誕生日の前々日までです。女性の場合は産後休業終了後から、男性の場合は子どもの出生日から受給期間が始まります。
保育所に入れない場合や配偶者の病気など特別な事情がある場合は、1歳6ヶ月まで延長可能です。さらに同様の事情が続く場合は、最長2歳まで再延長できます。
延長申請を行う場合は、子どもが1歳になった日以降に延長理由を証明する書類とともに申請する必要があります。入所申込書や入所不承諾通知書、医師の診断書などが延長理由に応じて必要となります。
育児休業中の就業制限について
育児休業給付金を受給し続けるためには、就業日数を月10日以下(10日を超える場合は80時間以下)に抑える必要があります。これを超えると給付金の支給が停止される可能性があります。
育児休業中に賃金が支払われた場合、その金額に応じて給付金が減額されることがあります。休業開始時賃金月額の80%以上の賃金が支払われると、給付金は全額支給停止となります。
恒常的・定期的に就業している場合は育児休業とみなされず、給付金の対象外となります。一時的・臨時的な就業に留めることが、継続的な受給のための重要なポイントです。
育児休業給付金についてのまとめ
育児休業給付金は産後の経済的不安を軽減する重要な制度です。初回は2ヶ月分がまとめて支給され、その後も2ヶ月ごとに継続的に受給できます。
この記事の要点を復習しましょう。
- 初回支給は育児休業開始から2ヶ月分がまとめて受け取れる
- 申請期限は育児休業開始日から4ヶ月経過する日の属する月末まで
- 申請から振込まで約1ヶ月かかるため計画的な準備が必要
- 2025年4月から新制度により最大28日間は給付率80%に向上
- 原則として勤務先が申請代行するが本人申請も可能
- 育児休業中の就業は月10日以下に制限される
適切な手続きを行えば安心して育児に専念できる環境が整います。勤務先の担当者と連携して、期限内に確実な申請を心がけましょう。