東京チカラめし閉店ラッシュの3つの理由!現在の店舗数は?

一時は130店舗以上を展開し、独特の「焼き牛丼」で人気を博した東京チカラめしが、なぜ次々と閉店していったのでしょうか。多くの人が疑問に思う閉店ラッシュの背景には、複数の要因が絡み合っていました。

そこで今回は、東京チカラめしが急激に店舗数を減らした3つの主要な理由と、現在の店舗数について詳しく解説します。かつて愛された焼き牛丼チェーンの興亡から、飲食業界の厳しい現実と復活への道筋が見えてきます。

急速な拡大から一転した東京チカラめしの歴史

  • 創業からブームまでの軌跡
  • 最盛期の店舗数と売上
  • 閉店ラッシュの始まり

創業からブームまでの軌跡

東京チカラめしは2011年6月、東京都豊島区池袋に1号店をオープンしました。運営するSANKO MARKETING FOODSは居酒屋「金の蔵」で知られる企業で、東日本大震災を機に日常食事業への参入を決めたのです。

同社の祖業である神田ガード下の「三光亭」という牛丼店のノウハウを活かし、新たなコンセプトで挑戦しました。「チカラがでるめし」で日本を元気にするという理念のもと、従来の牛丼とは異なる「焼き牛丼」を280円という低価格で提供し始めたのです。

この独特の調理法と手頃な価格設定が消費者の心を掴み、瞬く間に話題となりました。創業当初から注目を集め、牛丼市場に新風を吹き込む存在として急速に認知度を高めていったのです。

最盛期の店舗数と売上

2012年には「年間300店舗出店」という壮大な目標を掲げ、実際に同年内に累計100店舗を達成しました。焼き牛丼の目新しさと低価格戦略が功を奏し、ビジネス街を中心に店舗を急拡大させていったのです。

2013年の最盛期には全国で130店舗以上を展開し、牛丼チェーンとして確固たる地位を築きました。主要駅周辺への集中出店戦略により、サラリーマンを中心とした顧客層を獲得し、連日多くの客で賑わっていたのです。

しかし、この急成長こそが後の大量閉店の要因となってしまいました。短期間での大幅な店舗拡大は、運営面での様々な課題を生み出すことになったのです。

閉店ラッシュの始まり

2013年をピークに、東京チカラめしの状況は一変しました。2014年から店舗の閉店が相次ぎ、全88店舗中63店舗を新設会社に移管するなど、事業の大幅な縮小を余儀なくされたのです。

2022年8月には東京都内最後の新宿西口1号店が閉店し、2023年11月には関東唯一の新鎌ヶ谷店も閉店しました。わずか10年余りで全国展開から事実上の撤退状態となり、国内では大阪日本橋店のみが営業を続ける状況となったのです。

この急激な変化は多くのファンに衝撃を与え、なぜ人気のあった東京チカラめしが消えていったのかという疑問を生みました。次章では、この閉店ラッシュの具体的な理由について詳しく解説していきます。

東京チカラめし閉店ラッシュの3つの理由

  • 急激な店舗拡大による人材教育不足
  • 食材原価高騰と業態特有の課題
  • コロナ禍の影響と物件事情

急激な店舗拡大による人材教育不足

東京チカラめしの最大の問題は、急速な店舗拡大に人材教育が追いつかなかったことでした。焼き牛丼は肉を焼く工程があるため、一般的な牛丼店よりも調理技術が必要で、スタッフの習熟に時間がかかったのです。

短期間で100店舗以上を出店する過程で、十分な研修期間を確保できずに営業を開始する店舗が多発しました。その結果、調理に時間がかかり商品提供が遅れる店舗や、24時間営業を維持できない店舗が目立つようになったのです。

運営会社は同グループの居酒屋「金の蔵」の優秀な店長をチカラめしに配置転換しましたが、これがかえって居酒屋事業にも悪影響を与える結果となりました。人材配置の失敗と教育体制の不備が、チェーン全体の品質低下を招いたのです。

食材原価高騰と業態特有の課題

2013年頃から為替変動による輸入牛肉の価格上昇が東京チカラめしの経営を圧迫しました。低価格を売りにしていた同チェーンにとって、原材料費の高騰は直接的な収益悪化要因となったのです。

また、焼き牛丼特有の調理工程が回転率の向上を阻害する問題も深刻化しました。ビジネス街の店舗では限られたランチタイムに多くの客を捌く必要がありましたが、肉を焼く時間が必要なため、他の牛丼チェーンに比べて提供スピードで劣っていたのです。

さらに、肉を焼く際の油跳ねにより店内の床が滑りやすくなる「床ヌルヌル」問題も発生しました。清掃が行き届かない店舗では衛生面での課題も生じ、顧客満足度の低下につながったのです。

コロナ禍の影響と物件事情

2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大は、東京チカラめしに決定的な打撃を与えました。在宅勤務の定着により主要顧客であったサラリーマンの来店が激減し、売上の大幅な落ち込みが避けられなくなったのです。

多くの店舗が駅前の好立地に出店していましたが、高い賃料負担が経営を圧迫する要因となりました。新鎌ヶ谷店の閉店も駅前再開発に伴う定期借家契約の満了が理由で、物件事情による影響も無視できませんでした。

コロナ禍による売上減少と固定費負担の重さが重なり、多くの店舗で採算が取れない状況が続きました。この状況下で事業の抜本的な見直しを迫られ、店舗数の大幅削減という苦渋の選択を余儀なくされたのです。

現在の東京チカラめし店舗数と今後の展望

  • 国内の現在の店舗状況
  • 海外展開の成功事例
  • 復活への取り組みと今後の計画

国内の現在の店舗状況

2024年現在、国内で営業を続ける東京チカラめしは大阪日本橋店の1店舗のみとなっています。この店舗はフランチャイズ運営で、定食メニューも充実させるなど独自の工夫を凝らして営業を継続しているのです。

2024年5月には東京・九段第二合同庁舎内に「東京チカラめし食堂」がオープンし、2年ぶりの東京復活を果たしました。この店舗は政府関係者や近隣のオフィスワーカーをターゲットにした新業態として注目を集めています。

運営会社は「東京チカラめしの灯は消さない」として、都内での旗艦店開業を目指して物件探しを続けています。過去の反省を活かした慎重な店舗展開により、ブランドの再建を図っているのです。

海外展開の成功事例

国内での苦戦とは対照的に、海外では東京チカラめしが高い人気を獲得しています。2021年に香港に3店舗を出店したところ、連日行列ができるほどの盛況ぶりを見せ、現地メディア50社が取材に訪れるほどの話題となりました。

バンコクにも1店舗を展開し、アジア圏での需要の高さを実証しています。海外展開では4か月に及ぶ入念な準備期間を設け、オンラインでの研修システムを活用して品質管理を徹底しているのです。

現在も複数の国から出店依頼が来ており、今後はアジアを中心とした海外展開を加速させる方針です。日本で培ったノウハウを活かし、直営店の展開も検討しているとのことです。

復活への取り組みと今後の計画

運営会社は過去の急拡大による失敗を教訓に、人材教育と品質管理を重視した店舗運営に転換しています。海外展開で得られた知見を国内事業にも活用し、持続可能な成長モデルの構築を目指しているのです。

オンラインショップ「ひとま」では東京チカラめしの焼き牛丼の具を販売し、ブランドの認知度維持に努めています。店舗で食べられない地域のファンにも商品を提供することで、ブランド価値の維持と収益の多角化を図っているのです。

今後は慎重な店舗選定と十分な準備期間を確保した上で、都内への本格的な復活を目指しています。かつての勢いを取り戻すには時間がかかると予想されますが、着実な歩みを続けることで再び多くの人に愛される存在になることが期待されます。

東京チカラめしについてのまとめ

東京チカラめしの閉店ラッシュは、急激な事業拡大の代償として起こった現象でした。独特の焼き牛丼で一世を風靡したものの、人材教育の不備や原価高騰、コロナ禍の影響により大幅な店舗削減を余儀なくされたのです。

この記事の要点を復習しましょう。

  1. 2011年開業から2013年に最盛期130店舗以上を展開
  2. 急激な拡大による人材教育不足が品質低下を招いた
  3. 為替変動による食材原価高騰が収益を圧迫した
  4. 焼く工程による調理時間の長さが回転率を悪化させた
  5. コロナ禍での在宅勤務定着がサラリーマン客を減少させた
  6. 現在は国内1店舗、海外4店舗で営業を継続している

東京チカラめしは、現在では海外での成功を活かし、慎重なアプローチで国内復活を目指しています。過去の経験を教訓に、持続可能な成長を重視した経営方針への転換が、東京チカラめしの真の復活につながることでしょう。

参考リンク

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