色とりどりの羽毛を持ち、愛くるしい表情で人気のセキセイインコですが、実際に飼い始めてから「こんなはずじゃなかった」と後悔する飼い主が少なくありません。小さくて可愛いから簡単に飼えるだろうと思って迎え入れたものの、想像以上の鳴き声の大きさや世話の大変さに直面し、頭を抱えてしまう方が実は多いのです。
そこで今回は、セキセイインコを飼って後悔した人たちがよく口にする「よくある話」を3つのカテゴリーに分けてご紹介します。これからセキセイインコを飼おうと考えているあなたには、ぜひこの記事を読んで現実を知っていただき、本当に最後まで責任を持って飼育できるかどうかを慎重に判断してほしいと思います。
想像以上に響く鳴き声とご近所トラブル
- 思った以上に大きい呼び鳴きの音量
- 発情期には制御不能なギャー鳴き
- 近所からの苦情への不安とストレス
思った以上に大きい呼び鳴きの音量
セキセイインコの鳴き声は、小鳥だからと侮ってはいけません。特に「呼び鳴き」と呼ばれる、飼い主の姿が見えなくなったときに発する鳴き声は約70デシベルに達し、これは掃除機をかけているときと同じくらいの音量なのです。
多くの飼い主が想像していた「可愛らしいさえずり」とは全く異なり、ピーピーやピーヨといった力強い叫び声が朝早くから夜遅くまで響き渡ります。しかも呼び鳴きは愛情の裏返しであるため、懐けば懐くほど飼い主への執着が強くなり、姿が見えないだけで激しく鳴き続けるという悪循環に陥りやすいのです。
マンションやアパートで飼育している場合、壁が薄ければ隣の部屋まで鳴き声が聞こえてしまい、「近所迷惑になっていないか」と気が気でない日々を過ごすことになります。在宅ワークをしている飼い主の中には、ビデオ会議中にインコが鳴き出して恥ずかしい思いをした、集中できずに仕事の効率が下がったという声も少なくありません。
発情期には制御不能なギャー鳴き
さらに深刻なのが、発情期に入ったセキセイインコの鳴き声です。通常の呼び鳴きとは比較にならないほど激しい「ギャーギャー」という金切り声を、執拗なまでの長時間にわたって鳴き続けるため、飼い主自身が精神的に追い詰められてしまいます。
発情期のメスは特に攻撃的になり、鳴き声だけでなく噛みつき行動も激しくなるため、それまでの可愛らしい関係が一変してしまうことがあります。オスも発情すると頻繁にさえずりを繰り返し、静かな時間がほとんどなくなるという状況に直面する飼い主も多いのです。
この発情行動は生後数ヶ月から始まることもあり、若いうちから餌を豊富に与えすぎると一年中発情し続けるという事態にもなりかねません。発情を抑制するには餌の量を管理したり環境を調整したりする必要がありますが、適切な知識がないまま飼い始めた人にとっては対処が非常に難しく、「こんなはずじゃなかった」という後悔につながるのです。
近所からの苦情への不安とストレス
実際に近所から苦情が来たという事例も報告されており、鳴き声問題は決して軽視できません。ペット可の物件であっても「小鳥は可」とされているだけで、騒音については想定外だったという住民もいるため、トラブルの火種になりやすいのです。
防音対策としてアクリルケースを導入したり、窓に防音シートを貼ったりする飼い主もいますが、これらは追加コストがかかる上に完全に音を遮断することは困難です。結局、鳴き声の問題で部屋を移動させたり、最悪の場合は手放さざるを得なくなったりする飼い主もおり、始めから覚悟を決めて飼う必要があることを痛感させられます。
セキセイインコの鳴き声は本能的な行動であり、完全にやめさせることは不可能です。「静かにしてほしい」という人間側の都合で叱ったり圧力をかけたりすれば、インコとの信頼関係が崩れてしまうだけで根本的な解決にはならないため、飼育前にこの現実を理解しておくことが極めて重要なのです。
意外と負担が重い日々のお世話と費用
- 毎日3時間以上必要な放鳥時間
- 部屋中に散らばる大量の糞の処理
- 予想外に高額な医療費の負担
毎日3時間以上必要な放鳥時間
セキセイインコは飛ぶことが本能的に必要な鳥であり、毎日ケージから出して自由に飛び回らせる「放鳥時間」が不可欠です。最低でも3時間以上の時間を確保する必要があるとされており、これを怠るとストレスが溜まって問題行動を起こすようになります。
仕事で帰宅が遅くなる日や体調が悪い日でも、インコのために時間を確保しなければならず、この義務感が次第に重荷になっていく飼い主は少なくありません。しかも放鳥中は目を離すことができず、誤飲や事故を防ぐために常に見守る必要があるため、自分の時間がほとんど取れなくなってしまうのです。
さらに放鳥時間が不足すると、インコはケージに戻ることを嫌がり、呼び鳴きや噛みつきといった問題行動がエスカレートします。犬や猫のように散歩や遊びの時間を調整できると思っていた人にとって、この融通の利かなさは想定外のストレス要因となり、「こんなに大変だとは思わなかった」という後悔の声につながっているのです。
部屋中に散らばる大量の糞の処理
セキセイインコはトイレのしつけができない動物であり、放鳥中は部屋のあちこちに糞を落とします。しかも排泄の頻度が非常に高く、飛んでいるとき、止まっているとき、あるいは飼い主の手に乗っているときなど、あらゆる場面で糞をするため、気づけば家中が糞だらけという状況になりかねません。
カーテンやソファ、飼い主の肩や頭にも容赦なく糞が落とされるため、掃除が日常茶飯事となります。小さな糞だからと油断していると、カーペットや布製品に染み込んで取れなくなることもあり、清潔好きな人にとってはかなりのストレスになるのです。
加えて、羽づくろいの際に抜ける羽根やフケも大量に出るため、ケージ周辺だけでなく放鳥した部屋全体をこまめに掃除する必要があります。この予想外の掃除負担に疲弊し、「可愛いだけでは済まない現実」に直面して後悔する飼い主が多いのも、決して不思議ではありません。
予想外に高額な医療費の負担
セキセイインコは購入価格が3,000円台からと手頃ですが、病気になったときの医療費は驚くほど高額になります。初診料だけでも千円から二千円程度、レントゲン撮影では七千円以上、開腹手術ともなれば十万円を優に超えることも珍しくなく、入院すれば1日あたり数千円から1万円以上かかることもあるのです。
しかもセキセイインコは病気を隠す習性があるため、飼い主が異変に気づいたときにはすでに重症化していることが多く、結果として高額な治療費が必要になりやすいという特徴があります。メガバクテリアやPBFDといった病気にかかれば、毎月数万円規模の治療費が長期間続くこともあり、飼い主の生活を圧迫する要因となってしまいます。
ペット保険に加入していれば負担は軽減されますが、加入していない場合は全額自己負担となり、「こんなに医療費がかかるとは思わなかった」と後悔する声が後を絶ちません。小鳥だから医療費も安いだろうという安易な考えは非常に危険であり、いざというときのための経済的な備えをしておくことが、責任ある飼い主として不可欠なのです。
予想外の制約を受ける生活スタイル
- 長期旅行や出張が困難になる現実
- アロマや香水が使えない生活環境
- 温度管理のための光熱費の増加
長期旅行や出張が困難になる現実
セキセイインコを飼うと、気軽に旅行や出張に行くことができなくなります。数日間の留守番であっても、餌や水の管理、温度調整などが心配であり、預け先を見つけるのも容易ではないため、多くの飼い主が行動を制限されることになるのです。
小鳥を預かってくれるペットホテルは犬猫に比べて圧倒的に少なく、あったとしても慣れない環境でストレスを受けたインコが体調を崩すリスクがあります。家族や友人に頼むにしても、インコの世話の仕方を詳しく教える必要があり、何かあったときの責任問題も気になって、結局は旅行を諦めざるを得ないという飼い主が多いのです。
さらに、セキセイインコの寿命は適切に飼育すれば15年以上にもなるため、この制約が10年以上続くことを覚悟しなければなりません。独身時代に飼い始めた人が結婚や転勤、海外赴任などのライフイベントを迎えたとき、インコをどうするかという深刻な問題に直面し、「もっとよく考えて飼うべきだった」と後悔するケースも珍しくないのです。
アロマや香水が使えない生活環境
セキセイインコを飼育する上で意外と知られていないのが、化学的な臭いや香りに対する極端な弱さです。アロマディフューザー、お香、線香、香水、ボディミルクなど、香りを発するものは基本的にすべて使用禁止となり、これらを使ったことでインコが死亡した事例も数多く報告されています。
リラックスのためにアロマを楽しんでいた人や、おしゃれで香水を愛用していた人にとって、これらを一切諦めなければならないのは想像以上のストレスです。しかもシャンプーやコンディショナーの香りにも気を配る必要があり、自分の好きな製品を自由に選べなくなるという制約に、息苦しさを感じる飼い主も少なくありません。
同居する家族がいる場合は、家族全員がこれらの制約を理解し協力する必要があるため、理解が得られなければ家庭内でのトラブルにもなりかねません。「小鳥1羽でこんなに生活が変わるなんて」という驚きと後悔の声は、飼育前の情報収集がいかに重要かを物語っているのです。
温度管理のための光熱費の増加
セキセイインコは温度変化に敏感な鳥であり、快適に過ごせる温度は20度から30度とされています。特に幼鳥や病気のときは30度前後に保つ必要があるため、冬場はエアコンやペットヒーターを24時間稼働させ続けなければならず、光熱費が跳ね上がることになります。
夏場も直射日光や高温に弱いため、エアコンで室温を調整する必要があり、節約のためにエアコンを切って外出することもできません。結果として年間を通じて空調を使用し続けることになり、月々の電気代が数千円から場合によっては1万円以上増加するという現実に直面する飼い主も多いのです。
また、停電や災害時にも温度管理ができるよう、充電式のカイロや保温グッズを常備しておく必要があり、防災対策にも神経を使います。小さな体だからお金もかからないだろうという甘い考えは通用せず、長期的に見れば決して安くない維持費がかかることを、飼育前にしっかりと認識しておくべきなのです。
セキセイインコの飼育についてのまとめ
セキセイインコは確かに愛らしく、飼い主に深い愛情を示してくれる素晴らしいパートナーです。しかし、その小さな体からは想像できないほどの鳴き声、予想以上に手のかかる日々のお世話、そして長期間にわたる経済的・時間的な負担があることも事実なのです。
この記事の要点を復習しましょう。
- 呼び鳴きや発情期の鳴き声は掃除機並みの音量で、近所迷惑やストレスの原因になる
- 毎日3時間以上の放鳥が必要で、部屋中に散らばる糞の処理も日常的な負担となる
- 医療費は予想以上に高額で、1回の治療で数千円から数万円かかることも珍しくない
- 長期旅行や出張が困難になり、ライフスタイルが大きく制約される
- アロマや香水などの使用が禁止され、生活の自由度が下がる
- 年間を通じた温度管理が必要で、光熱費が大幅に増加する
これらの現実を知った上で、それでも最後まで責任を持って愛情を注ぎ続けられるかどうか、冷静に自問自答してください。命を預かるということは、可愛いという感情だけでは務まらない重大な責任であり、安易な気持ちで飼い始めて後悔することのないよう、この記事が慎重な判断の一助となれば幸いです。
