ご飯ですよのキャラのり平とは?同じCMの女性キャラは誰?

あの丸メガネを鼻先までずらした愛らしいキャラクターを見て、懐かしさを感じるあなたもいるのではないでしょうか。桃屋の「ごはんですよ!」のCMに登場する「のり平」は、実は昭和の名優がモデルとなっており、その背後には驚くべき物語が隠されています。

そこで今回は、60年以上愛され続けるキャラクター「のり平」の正体と、CMに登場する様々な女性キャラクターの秘密について、詳しく解説していきます。昭和から令和まで続く日本の広告史に残る傑作について、一緒に探求してみませんか?

のり平キャラクターの正体と誕生秘話

  • 三木のり平という昭和の名優
  • キャラクター誕生の意外なきっかけ
  • 40年間続いた本人による声の演技

三木のり平という昭和の名優

のり平の正体は、昭和を代表する喜劇俳優・三木のり平(1924年4月11日~1999年1月25日)その人です。田沼則子(たぬま ただし)という本名を持つ彼は、東宝映画の「社長シリーズ」での名演技で知られ、「パァーッといきましょう」の決め台詞は当時の流行語にもなりました。

日本橋の待合茶屋で育った生粋の江戸っ子である三木は、幼少期から芸事に親しみ、その経験が後の演技力の源泉となりました。森繁久彌と並び称される喜劇役者として活躍し、演出家としても森光子主演「放浪記」を手がけるなど、多才な芸術家として昭和の芸能界に大きな足跡を残しました。

興味深いことに、三木のり平はもともと美術を学んでおり、絵の才能にも恵まれていました。この特技が後に桃屋のCMキャラクター誕生につながることになるとは、当時誰も想像していなかったでしょう。

キャラクター誕生の意外なきっかけ

1950年代後半、桃屋が新聞広告で著名人に商品の推薦コメントを依頼した際、三木のり平は「私がとやかく言うより絵でも描きましょう」と言って自画像を描き始めました。この時描かれた丸メガネを鼻先まで下げた独特の自画像が、読者から大好評を博したのです。

1958年、テレビCM時代の到来とともに、桃屋は「視聴者を飽きさせない、ドラマにも負けないCMを作ろう」という野心的な目標を掲げました。そこで白羽の矢が立ったのが、新聞広告で人気を博していた三木のり平の自画像をアニメ化するという斬新なアイデアでした。

こうして誕生した「のり平」キャラクターは、歌舞伎の「助六」をパロディにした第1作から始まり、瞬く間に日本中の茶の間の人気者となりました。単なる商品紹介ではなく、起承転結のあるストーリーと駄洒落を織り交ぜた独創的な作品は、当時のCM界に革命をもたらしたと評価されています。

40年間続いた本人による声の演技

驚くべきことに、三木のり平本人が1958年から1998年まで実に40年間、自らキャラクターの声優を務め続けました。「助六篇」から「カライ盗ルパン篇」まで、数百本にも及ぶCMすべてで、彼は様々なキャラクターになりきって演技を披露したのです。

制作現場では、まず三木のり平が声を吹き込み、その音声に合わせてアニメーションを制作するという独特の手法が採用されていました。時には収録現場で台本が気に入らないと、その場で新しい川柳を考え始めるなど、彼の芸術家としてのこだわりが随所に現れていたといいます。

三木のり平は生前、「CMは嫌いだが、桃屋のCMだけはアニメだから飽きない」と語っていたそうです。この言葉には、キャラクターと一体化し、創造的な表現を追求し続けた彼の芸術家魂が込められているのではないでしょうか。

CMに登場する女性キャラクターの真相

  • 固定キャラクターではない独特の仕組み
  • パロディで演じられる多彩な女性像
  • コラボレーションで登場する有名キャラクター

固定キャラクターではない独特の仕組み

実は「ごはんですよ!」のCMには、特定の女性キャラクターが固定で登場するわけではありません。これは桃屋CMの最大の特徴である「七変化」という手法によるもので、のり平自身が様々なキャラクターに変身する中で、時に女性の役も演じるという独創的な演出なのです。

60年以上の歴史の中で、のり平は300以上ものキャラクターに変身してきました。クレオパトラから現代の主婦まで、時代や国境を超えた多様な女性像を、すべてあの丸メガネをかけた姿で演じ分けるという、他に類を見ない表現手法が確立されています。

この手法により、視聴者は「次はどんな変身を見せてくれるのか」という期待感を持ちながらCMを楽しむことができました。固定観念にとらわれない自由な発想こそが、長寿CMシリーズを支える秘訣だったのかもしれません。

パロディで演じられる多彩な女性像

のり平が演じる女性キャラクターは、その時代の流行や話題を巧みに取り入れたパロディ作品として制作されています。歴史上の人物から映画のヒロイン、昔話の登場人物まで、幅広いジャンルから題材が選ばれ、すべてが丸メガネをかけた姿で登場するという斬新な演出が施されています。

特に印象的なのは、日本の伝統的な物語や歌舞伎の女性役を演じる際の表現力の豊かさです。三木のり平が幼少期から親しんでいた芸事の素養が、これらの演技に深みと説得力を与えていたことは間違いありません。

また、1960年代から70年代にかけては、当時人気だったテレビ番組のパロディも数多く制作されました。これらの作品では、元ネタを知る視聴者がクスリと笑えるような、絶妙な風刺とユーモアが散りばめられていました。

コラボレーションで登場する有名キャラクター

2000年代に入ると、「ゲゲゲの鬼太郎」や「ドラゴンボール」など、人気アニメとのコラボレーションCMが制作されるようになりました。これらの作品では、ネコ娘やブルマ、チチといった女性キャラクターたちが、のり平顔に変身するという画期的な演出が話題を呼びました。

特に「ゲゲゲの鬼太郎」とのコラボでは、鬼太郎とネコ娘が「ごはんですよ!」を食べているうちに、いつの間にか全員がのり平顔になってしまうという、シュールで愛らしい展開が描かれています。オリジナル声優陣が参加したことで、ファンからも高い評価を得ました。

これらのコラボレーションは、単なる話題作りではなく、世代を超えて愛されるキャラクター同士の夢の共演として、新旧のファンを楽しませています。伝統を守りながら新しい挑戦を続ける姿勢こそ、桃屋CMの真骨頂といえるでしょう。

親子二代で受け継がれる伝統

  • 息子・小林のり一への継承
  • 変わらぬ愛されキャラクターの秘密
  • 現代に生きる昭和の広告文化

息子・小林のり一への継承

1999年1月25日、三木のり平が74歳で永眠した後、彼の長男である小林のり一が「のり平」の声を引き継ぎました。幼少期から父の仕事場である劇場で育ち、自然と芸の道に進んでいた彼にとって、この継承は運命的なものだったのかもしれません。

小林のり一は最初こそ父の声真似から始めましたが、次第に各キャラクターになりきる独自の演技スタイルを確立していきました。「大根の運命篇」という最初の作品では大根役を演じるという難題に直面しましたが、これも見事にこなして視聴者を楽しませています。

親から子へとバトンが渡されたことで、昭和から平成、そして令和へとキャラクターの命が繋がれました。血縁による継承という日本の伝統芸能にも通じる要素が、このCMシリーズに深い文化的価値を与えているのです。

変わらぬ愛されキャラクターの秘密

のり平が60年以上も愛され続ける理由は、時代が変わっても変わらない普遍的な魅力にあります。丸メガネを鼻先まで下げた独特のビジュアルは、一度見たら忘れられないインパクトを持ち、世代を超えて親しまれています。

また、駄洒落とパロディを基調とした作風は、日本人の笑いのツボを的確に捉えており、どの時代の視聴者にも楽しんでもらえる工夫が凝らされています。高尚になりすぎず、かといって下品にもならない絶妙なバランス感覚が、幅広い層からの支持を集める要因となっています。

さらに、30秒という短い時間の中に起承転結のあるストーリーを詰め込む職人技は、現代のSNS時代においても通用する先進性を持っています。簡潔でありながら印象的、これこそがのり平CMが時代を超えて愛される最大の理由かもしれません。

現代に生きる昭和の広告文化

デジタル技術の進化により、2018年には過去の名作CMがデジタルリマスター版として復刻されました。劣化したオリジナル版から色彩を再現する作業は困難を極めましたが、昭和らしい「くすみ」を残しながら見事に蘇らせることに成功しています。

現代の広告がターゲティングやデータ分析を重視する中、のり平CMは「誰もが楽しめる」という普遍的な価値を追求し続けています。この姿勢は、効率性ばかりが重視される現代社会において、むしろ新鮮で価値のあるものとして再評価されているのです。

1993年にはギネスブックに世界一の長寿キャラクターCMとして申請されましたが、比較対象がないという理由で認定は見送られました。しかし、この事実こそが、のり平CMが唯一無二の存在であることを証明しているのではないでしょうか。

ご飯ですよのキャラクターについてのまとめ

桃屋の「ごはんですよ!」のキャラクター「のり平」は、昭和の名優・三木のり平がモデルとなった、日本の広告史に残る傑作キャラクターです。60年以上にわたって愛され続けるその魅力は、時代を超えた普遍的な価値を持っています。

この記事の要点を復習しましょう。

  1. のり平の正体は喜劇俳優の三木のり平で、自画像がキャラクターの原型となった
  2. 1958年から1998年まで本人が40年間声優を務め、その後は息子の小林のり一が継承
  3. CMに登場する女性は固定キャラクターではなく、のり平が変身する300以上のキャラクターの一部
  4. ゲゲゲの鬼太郎やドラゴンボールなど人気アニメとのコラボで新たな女性キャラクターも登場
  5. 駄洒落とパロディを基調とした独特の作風が世代を超えて支持されている
  6. 親子二代による継承は日本の伝統芸能にも通じる文化的価値を持つ

のり平というキャラクターは、単なる企業マスコットを超えて、日本の大衆文化の一部として根付いています。これからも変わらぬ姿で、私たちの食卓に笑いと温かさを届けてくれることでしょう。

参考リンク

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