オキザリソウとは?オキザリスとの関係も解説

園芸店で見かけるカラフルな小花の鉢に「オキザリス」という名札がついていたり、ネットで検索すると「オキザリソウ」という呼び方が出てきたりして、混乱したことはありませんか。実は同じ植物を指しているのですが、なぜ二つの名前があるのか、どちらが正しいのか、気になりますよね。

そこで今回は、オキザリソウとオキザリスの関係性を明らかにしながら、この魅力的な球根植物の特徴や育て方までを詳しく解説していきます。朝日とともに花を開き、雨の日には静かに閉じるという独特の習性を持つこの植物は、あなたの庭やベランダに新しい彩りと発見をもたらしてくれるでしょう。

オキザリソウの基本情報

  • オキザリソウとオキザリスの呼び方について
  • 植物としての分類と特徴
  • 名前の由来と歴史的背景

オキザリソウとオキザリスの呼び方について

まず結論から申し上げると、オキザリソウとオキザリスは全く同じ植物を指す言葉です。学名の「Oxalis」をカタカナ表記したものが「オキザリス」で、これに「草」を付けた和風の呼び方が「オキザリソウ」というわけです。

園芸業界や専門書では「オキザリス」という呼称が一般的に使われており、これが標準的な名前として定着しています。一方で、日本語の響きを好む方々の間では「オキザリソウ」という呼び方も親しまれており、どちらを使っても間違いではありません。

興味深いのは、同じカタバミ科の仲間でも、園芸種として栽培されるものは「オキザリス」と呼ばれ、道端に自生する雑草は「カタバミ」と呼び分けられている点です。この使い分けは植物学的な分類ではなく、人々がその植物をどう扱うかという文化的な区別といえるでしょう。

植物としての分類と特徴

オキザリスはカタバミ科カタバミ属に分類される球根植物で、世界中に800種から850種ほどが分布しているといわれています。その主な原産地は南アフリカや中南米の熱帯から温帯地域で、多様な気候に適応した結果、驚くほど多彩な姿を見せるようになりました。

最も特徴的なのは、花が太陽の光に敏感に反応する性質です。日中の日差しを浴びると盃のような形に大きく開き、夜間や雨天時には花びらをきゅっと閉じてしまうため、まるで植物が天候を感じ取っているかのようで、観察する喜びがあります。

葉の形状も魅力の一つで、クローバーのような三つ葉タイプが代表的ですが、四つ葉や五つ葉、さらには十数枚に裂けるものまで存在します。花色も白、黄色、ピンク、紫、オレンジ、複色と実に豊富で、葉の色も緑だけでなく紫色の品種もあるため、カラーリーフとしても楽しめるのです。

名前の由来と歴史的背景

オキザリスという名前は、ギリシア語で「酸っぱい」を意味する「oxys」に由来しています。葉や茎にシュウ酸を含むため噛むと酸味があり、昔の人々はこの酸性の葉で金属製の鏡や硬貨を磨いていたというから驚きです。

日本への渡来は江戸時代の末期とされ、特に「ボーウィー」という品種がハナカタバミの名で親しまれました。戦前戦後を通じて冬の鉢花として庶民の間で人気を博し、花の少ない冬の時期を華やかに彩る存在として、多くの家庭で大切に育てられていたのです。

現在では約30種類のオキザリスが日本国内で栽培され、一年を通じて何らかの品種の花を楽しめるようになりました。長い歴史の中で日本人の暮らしに寄り添ってきたこの花は、今もなお多くのガーデナーに愛され続けており、その魅力は色あせることがありません。

オキザリソウの多様な種類

  • 開花時期による分類
  • 人気の品種とその特徴
  • 葉の色や形状の違い

開花時期による分類

オキザリスの大きな魅力は、品種によって開花時期が異なるため、季節を問わず花を楽しめる点にあります。秋植え種は夏に休眠して秋から冬にかけて開花し、春植え種は冬に休眠して春から夏に咲き、さらに四季咲き種は一年中花を咲かせる性質を持っています。

秋植え種の代表格である「バーシカラー」や「ボーウィー」は、9月から10月に植え付けると10月から翌春にかけて長く花を楽しめます。真冬は一時的に花数が減少しますが、春には再び勢いを取り戻して咲き誇る姿は、寒い季節を乗り越えた喜びを感じさせてくれるでしょう。

一方、春植え種の「デッペイ」や「ルブラ」などは3月から4月に植え付け、春から夏にかけて花を咲かせます。このように開花時期の異なる品種を組み合わせて栽培すれば、あなたの庭は一年中オキザリスの花で彩られることになり、季節の移ろいをより豊かに感じられるはずです。

人気の品種とその特徴

園芸店でよく見かける人気品種の一つが「トリアングラリス」で、紫色の大きな三角形の葉が印象的な品種です。別名「紫の舞」とも呼ばれ、カラーリーフとしての価値も高く、淡いピンクの小さな花とのコントラストが美しいため、寄せ植えにも重宝されています。

「バーシカラー」は白地に赤い縁取りが入る独特の花姿が人気で、つぼみの状態ではまるでキャンディーのような愛らしさがあります。開花すると一度にたくさんの花が咲き揃い、その華やかさは思わず足を止めて見入ってしまうほどの迫力です。

「桃の輝き」という品種は、その名の通り鮮やかな桃色の丸みを帯びた花を咲かせ、照りのある濃い緑の葉とのコントラストが見事です。また、黄色い花を咲かせる「ペスカプラエ」は明るく元気な印象を与え、どの品種も個性豊かで選ぶ楽しさがあります。

葉の色や形状の違い

オキザリスの葉は花と同じくらい魅力的で、その多様性は見る者を飽きさせません。最も一般的なのは緑色の三つ葉タイプですが、「デッペイ」のように四つ葉を持つ品種は「ラッキークローバー」とも呼ばれ、幸運のシンボルとして親しまれています。

紫色の葉を持つ「トリアングラリス」や「レグネリー」などは、花が咲いていない時期でもカラーリーフとして庭を彩ってくれます。特に「レグネリー」は濃い紫色のシックな葉色が特徴で、白やピンクの小さな花を咲かせる姿は、まるで紫のベルベットに宝石を散りばめたような美しさがあります。

中には葉の表面に光沢があるものや、銀色がかった葉を持つ品種も存在し、それぞれが独自の個性を放っています。複数の品種を集めてコレクションする楽しみは格別で、葉の形や色の違いを比較しながら眺める時間は、忙しい日常に癒しをもたらしてくれるに違いありません。

オキザリソウの育て方

  • 日当たりと土の条件
  • 水やりと肥料の管理
  • 季節ごとの手入れ方法

日当たりと土の条件

オキザリスを元気に育てるためには、何よりも日当たりの良い場所を選ぶことが重要です。花が太陽の光に反応して開く性質を持つため、日陰では花が咲かないどころか、つぼみのまま閉じたままになってしまい、せっかくの美しさを楽しめなくなってしまいます。

土の条件としては、水はけの良さが最も大切なポイントになります。過湿を嫌う性質があるため、鉢植えの場合は赤玉土7割に腐葉土3割程度を混ぜた配合土か、市販の草花用培養土に砂を3割ほど加えると理想的です。

地植えにする場合は、霜が当たらない場所を選び、特に秋植え種は厳寒期に凍らないよう注意が必要です。また、繁殖力が旺盛で横に広がりながら増えていくため、他の植物の領域を侵さないよう鉢植えで管理するか、地中に仕切りを設けるなどの工夫をしておくと安心でしょう。

水やりと肥料の管理

水やりは、鉢土の表面が白っぽく乾いてからたっぷりと与えるのが基本で、晴天時に行うのがベストです。雨天や曇天時に水を与えると過湿状態になりやすく、根腐れを起こす原因となるため、天候を見ながら調整することが大切です。

発芽後の約1か月間は根がしっかり張る時期なので十分に水を与えますが、その後は控えめにして茎葉が軟弱にならないよう育てます。長雨に当たると根腐れのリスクが高まるため、秋植え種は特に9月から10月の雨季には軒下などに移動させる配慮が必要でしょう。

肥料については、与えすぎると葉ばかりが茂って花つきが悪くなる「草ボケ」という状態になるため注意が必要です。元肥には緩効性の化成肥料を鉢底近くに少量施し、生育期間中は月2回程度の液肥を水やり代わりに与える程度で十分な成長が期待できます。

季節ごとの手入れ方法

秋植え種は夜間の気温がマイナスになると葉が傷むため、12月上旬頃から3月中旬頃までは室内に取り込むことをおすすめします。日当たりの良い窓辺に置けば、冬の間も可憐な花を咲かせ続け、寒い季節の室内に華やかさをもたらしてくれるでしょう。

春植え種のレグネリーやルブラは株が大きく育つため、生育に応じて一回り大きな鉢に植え替えてあげると良いでしょう。適切なタイミングで植え替えを行うことで、根詰まりを防ぎ、より豊かな花を咲かせる健全な株に育てることができます。

開花後は品種によって休眠期に入るため、葉が黄ばんできたら水やりを打ち切り、雨の当たらない日陰で休ませます。この休眠期間は植物にとって次の開花に向けてエネルギーを蓄える大切な時期なので、無理に水を与えたりせず、静かに見守ってあげることが長く楽しむ秘訣といえるでしょう。

オキザリソウについてのまとめ

オキザリソウとオキザリスは同じ植物を指す呼び方で、学名に由来する「オキザリス」が園芸界では一般的に使われています。カタバミ科の球根植物として世界中に800種以上が分布し、その多様性と育てやすさから初心者にもおすすめできる植物です。

この記事の要点を復習しましょう。

  1. オキザリソウとオキザリスは全く同じ植物で、どちらの呼び方も間違いではない
  2. 太陽の光に反応して花を開閉する独特の習性を持ち、観察する楽しみがある
  3. 開花時期や花色、葉の形状が品種によって多様で、一年中楽しめるよう選べる
  4. 日当たりと水はけの良い環境を好み、過湿や肥料の与えすぎに注意が必要
  5. 秋植え種と春植え種があり、それぞれに適した植え付け時期と管理方法がある
  6. 江戸時代末期から日本で親しまれてきた歴史ある花である

朝日とともに微笑むように花を開き、雨の日には静かに休むオキザリスは、まるで生きた天気予報のような存在です。あなたもぜひこの魅力的な球根植物を育てて、季節の移ろいと植物の生命力を身近に感じる暮らしを始めてみてください。

参考リンク

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