雨の日や猛暑日など外出が難しい日に、1歳の子どもと家でどう過ごすか悩んでいませんか。身近な素材を使って室内遊びを楽しみたいと思いつつも、安全面が心配で踏み出せないという気持ち、よくわかります。
そこで今回は、保育現場でも人気のあるスズランテープを使った室内遊びについて、その危険性と安全対策を詳しく解説します。素材の特性を正しく理解することで、1歳児でも安心して楽しめる遊びへと変えられますので、ぜひ最後までお読みください。
スズランテープの特性と1歳児にとっての魅力
- スズランテープとは何か
- 1歳児の遊びに適している理由
- 発達を促す効果について
スズランテープとは何か
スズランテープは、合成繊維で作られた薄く幅広のテープ状の素材です。1962年から市販されている製品で、当初は農作業で使う束ね用の道具として作られました が、現在では工作や装飾など幅広い用途で使われています。
素材にはポリエチレンやポリプロピレンが使われており、薄い膜状ながら縦方向に引っ張る力には強さを持ちます 。その一方で、縦方向には簡単に裂くことができるため、子どもの指先遊びにも活用されているのです。
実際に触ってみると、表面がツルツルとしていて独特のシャカシャカという音がします。この感触と音が、小さな子どもたちの五感を刺激し、興味を引きつける要素となっているわけです。
1歳児の遊びに適している理由
1歳児は手指の発達が著しい時期であり、つかむ・引っ張る・裂くといった動作を繰り返すことで運動能力が向上します。スズランテープは軽くて柔らかいため、まだ力加減が未熟な1歳児でも扱いやすいという利点があります。
また、赤・青・黄色など鮮やかな色が揃っているため、視覚的な刺激も得られます。風に揺れるテープを目で追ったり、色の違いを認識したりすることで、観察力や識別能力も自然と育まれていくのです。
さらに、100円ショップなどで手軽に購入できる点も魅力的です。特別な準備をしなくても思い立ったときにすぐ遊べるため、忙しい保護者にとっても取り入れやすい室内遊びと言えるでしょう。
発達を促す効果について
スズランテープを裂く動作は、指先の細かな筋肉を使うため巧緻性の向上に役立ちます。最初は太いまま裂いていた子どもが、徐々に細く裂けるようになる過程は、まさに発達の証です。
引っ張る・振る・丸めるといった多様な動きを試すことで、物の性質を学ぶ機会にもなります。同じテープでも、やり方次第でいろいろな形や音が生まれることに気づき、探究心が刺激されるのです。
保護者と一緒にポンポンを作ったり、色当て遊びをしたりすれば、コミュニケーションの場としても機能します。楽しい時間を共有することで、親子の絆が深まるとともに、社会性の芽生えにもつながっていくでしょう。
スズランテープ遊びにおける主な危険性
- 誤飲や窒息のリスク
- 首や手足への絡まりによる事故
- 目や口への接触による危害
誤飲や窒息のリスク
保育施設などでは、シール・テープ・ビニールといった素材による飲み込み事故や、それに近い危険な状況が頻繁に起きています 。1歳児は何でも口に入れて確かめる時期であり、スズランテープの小さな破片も誤飲の対象となり得るのです。
ペラペラした薄い素材は、口内やのどの粘膜にくっついてしまう恐れがあります が、スズランテープも裂いた後の細い部分が同様の危険を持ちます。口内に張りついても、0歳や1歳の子どもは異変を訴えられないことが多く、水分を口にした瞬間に剥がれてのど側へ流れていくケースも存在します ため、注意が必要です。
もしテープの破片が気管に入れば、呼吸困難を引き起こす恐れもあります。完全に気道を塞いでしまうと、わずか数分で命に関わる事態となるため、決して軽視できない危険性だと言えます。
首や手足への絡まりによる事故
ブラインドを動かすための紐やカーテンを束ねる留め具などが、子どもの首周りに巻きついて息ができなくなる事故の報告が複数あります 。スズランテープも長いひも状の素材であり、同様のリスクを持っていることを認識しておかなければなりません。
紐類が首に巻きついた状況では、空気の通り道が塞がれたり脳への酸素供給が止まったりして15秒程度で意識を失い、2分から3分ほどで生命の危機に至ります 。窒息事故は急に静かに発生するため、保護者が気づいたときには手遅れになっている可能性もあるのです。
また、手足に強く巻きついた場合も血流が阻害される危険があります。1歳児は自分で解くことが難しいため、大人が常に見守り、絡まっていないか確認する姿勢が求められます。
目や口への接触による危害
スズランテープを振り回して遊んでいるとき、勢い余って目に当たることがあります。薄いテープとはいえ、目は非常にデリケートな部分ですから、角膜を傷つける可能性も否定できません。
また、裂いた後のテープの端が鋭利になっていることもあります。口の中を切ってしまったり、唇を傷つけたりするケースも考えられるため、遊んだ後は破片をきちんと片付けることが大切です。
さらに、テープを引っ張り合いっこする遊びでは、急に手を離したときの反動で顔を打つこともあります。楽しい遊びだからこそ夢中になりやすく、周囲への注意が散漫になりがちな点にも気を配る必要があるでしょう。
安全にスズランテープ遊びを楽しむための対策
- 遊ぶ際の環境整備と準備
- 遊び中の見守りポイント
- 片付けと保管の注意点
遊ぶ際の環境整備と準備
まず、遊ぶ場所の安全確認から始めましょう。床に物が散らかっていないか、滑りやすい素材ではないかをチェックし、できればマットやカーペットの上で遊ばせると転倒時の衝撃を和らげられます。
テープの長さも重要な要素です。首に巻きつくリスクを減らすため、あらかじめ短めにカットしておき、一度に使う本数も2~3本程度に抑えるとよいでしょう。
また、他の遊具との組み合わせには注意が必要です。特に高さのある家具の近くでは遊ばせない、踏み台になりそうなものを遠ざけるなど、予期せぬ事故を防ぐ工夫を心がけてください。
遊び中の見守りポイント
1歳児がスズランテープで遊んでいる間は、絶対に目を離さないことが鉄則です。口に入れていないか、首や手足に絡まっていないか、常に観察を続けましょう。
もし口に入れそうになったら、大きな声で驚かせるのは逆効果です。口内に異物がある状態で大声を出すと、驚いた拍子に気管へ吸い込んでしまう危険性があります ので、そっと声をかけて取り除くようにしてください。
遊びに飽きてきたら無理に続けさせず、別の活動に切り替えることも大切です。集中力が途切れると誤った使い方をしやすくなるため、子どもの様子を見ながら適切なタイミングで終了する判断力が求められます。
片付けと保管の注意点
遊び終わった後は、床に落ちた小さな破片まで丁寧に拾い集めましょう。見落とした破片を後から口に入れてしまう危険があるため、掃除機をかけるなどして徹底的に除去することをお勧めします。
保管場所も重要です。1歳児の手が届く範囲は約90センチメートルです から、それより高い位置に収納し、できれば鍵付きの棚に入れておくと安心です。
使いかけのテープは、ほつれた部分をカットして整えておきましょう。次回使うときに余計な危険を持ち込まないよう、日頃からメンテナンスを怠らない姿勢が、子どもの安全を守ることにつながります。
スズランテープ遊びについてのまとめ
スズランテープは手軽で魅力的な遊び道具ですが、使い方を誤ると重大な事故につながる可能性があります。だからこそ、危険性を正しく理解した上で、適切な対策を講じることが何より大切なのです。
この記事の要点を復習しましょう。
- スズランテープは1歳児の発達を促す効果がある一方で、誤飲や窒息などの危険性も持っている
- 特に首への絡まりは短時間で命に関わる事態を招くため、長さの調整と見守りが不可欠
- 遊ぶ環境を整え、滑りにくい場所で短めのテープを少量使うことがリスク軽減につながる
- 遊び中は絶対に目を離さず、口に入れそうになったら静かに声をかけて取り除く
- 片付けは破片まで徹底的に拾い集め、保管は子どもの手が届かない高い場所で行う
- 日頃からテープの状態を確認し、ほつれた部分は整えておくことで次回の安全性を保てる
危険があるからといって、すべてを禁止する必要はありません。リスクを理解し、対策を実践することで、1歳児の成長を支える素晴らしい室内遊びへと変えていけるはずですから、ぜひ安全第一で楽しんでください。
