山本屋の本店と総本家の決定的な違い3選。どっちが美味い?

名古屋名物の味噌煮込みうどんを食べようと「山本屋」を訪れたとき、「本店」と「総本家」という2つの店があって戸惑った経験はありませんか。名前がとても似ているため系列店だと思いがちですが、実は全く別の会社であることを知って驚いた方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、山本屋本店と山本屋総本家の決定的な違いを3つの視点から徹底解説していきます。それぞれの歴史や特徴を理解することで、あなたの目的に合った店選びができるようになり、名古屋の味噌煮込みうどんをより深く楽しめるようになるでしょう。

両店の成り立ちと歴史的背景

  • 完全な別会社であることの真相
  • それぞれの創業年と経緯
  • 元祖「山本屋」との関係性

完全な別会社であることの真相

山本屋本店と山本屋総本家は、名称が酷似しているため多くの人が系列店だと誤解していますが、実際には経営が全く異なる別会社です。この紛らわしい状況は、両店とも「山本屋」という元祖の店から派生したという複雑な歴史的経緯に起因しています。

公式サイトへの問い合わせに対しても、両店はそれぞれ「関係のない別会社」であることを明言しています。看板やロゴまで似ているため消費者にとっては非常にわかりにくい状況ですが、これは競合関係にある2つの企業がそれぞれ独自に営業しているという事実を物語っています。

この状況は、名古屋の味噌煮込みうどん文化の奥深さを示すものでもあります。両店がそれぞれの信念を持って味を追求し続けてきた結果、名古屋を代表する二大巨頭として並び立つようになったのは、ある意味で興味深い歴史の展開だと言えるでしょう。

それぞれの創業年と経緯

山本屋本店は、明治40年(1907年)を創業年として掲げていますが、これは「山本にこみ」という店を島本万吉氏が買い取った年を指しています。現在の山本屋本店の直接的なルーツは、昭和27年(1952年)に乾物商だった市村彦一郎氏が太閤通りでうどん店を開業したことに始まります。

一方、山本屋総本家は大正14年(1925年)に大須の地で誕生しました。こちらは島本万吉・きぬ夫妻の店を二代目店主である町田守一・雪枝夫妻が受け継いだという系譜を持っており、創業から100年の歴史を誇っています。

創業年の表記だけを見ると山本屋本店の方が古く見えますが、実際の営業開始時期は山本屋総本家の方が先です。この年代のギャップが、両店の「元祖」をめぐる議論を複雑にしている要因の一つとなっており、どちらが本物かという問いに明確な答えを出すことは困難だと言わざるを得ません。

元祖「山本屋」との関係性

両店とも元祖「山本屋」という廃業した店の味をルーツとしていることは確かなようです。山本屋総本家は元祖山本屋の流れを直接くむと主張し、山本屋本店は後年になって元祖から商号を譲り受けたと主張していますが、決定的な証拠を提示できる状況にはありません。

さらに複雑なことに、「大久手山本屋総本家」という元祖山本屋の創業家の親類が営む店も存在しています。この状況は、元祖「山本屋」という店が名古屋の味噌煮込みうどん文化において非常に重要な位置を占めていたことを示唆しており、その味の継承をめぐって複数の流れが生まれたものと考えられます。

結局のところ、どちらが正統な後継者かという議論よりも、両店がそれぞれ長年にわたって味を磨き続けてきた事実の方が重要です。競い合いながらも独自の道を歩んできた両店の存在が、名古屋の味噌煮込みうどん文化を豊かにしてきたのだと前向きに捉えることができるでしょう。

メニュー構成とサービスの相違点

  • 卵の扱いにおける決定的な違い
  • 無料サービスの有無と範囲
  • 価格設定とコストパフォーマンス

卵の扱いにおける決定的な違い

山本屋本店では、すべての味噌煮込みうどんに卵が標準で入っており、追加料金なしで濃厚な味わいを楽しめます。ほぼ生の状態で提供される卵を味噌スープと混ぜることで味がまろやかになり、最初は卵を混ぜずに濃厚な味噌の風味を堪能し、途中から卵を混ぜて味の変化を楽しむという食べ方も可能です。

対照的に山本屋総本家では、基本メニューには卵が含まれておらず、追加料金を支払うことで卵入りにすることができます。この違いは単なる価格差以上の意味を持っており、味噌煮込みうどんの味わい方に対する両店の哲学の違いを表していると解釈することもできます。

卵が最初から入っているかどうかは、好みが大きく分かれるポイントです。濃厚な味噌の風味をストレートに味わいたい方は総本家の基本メニューを、まろやかで優しい味わいを最初から楽しみたい方は本店を選ぶという基準で選択すると、より満足度の高い食体験ができるはずです。

無料サービスの有無と範囲

山本屋本店の大きな魅力の一つは、浅漬けの自家製漬物が無料でおかわり自由という点です。白菜、胡瓜、玉ねぎなど数種類の漬物がすりおろし生姜とともに提供され、味噌煮込みうどんを待つ間や食事中の口直しとして楽しめるこのサービスは、多くの常連客から高く評価されています。

さらに平日のランチタイムには、ご飯と漬物のおかわりが自由というお得なセットメニューも用意されています。味噌煮込みうどんのスープをご飯にかけて食べるという名古屋流の楽しみ方ができるこのサービスは、コストパフォーマンスを重視する方にとって大きな魅力となっています。

一方、山本屋総本家では、ご飯、卵、漬物はすべて別料金となっています。このシンプルな価格設定は、必要なものだけを注文したい方には適していますが、家族連れやボリュームを求める方にとっては、本店の方がお得感を感じやすいかもしれません。

価格設定とコストパフォーマンス

基本的な味噌煮込みうどんの価格は、両店ともほぼ同じ価格帯に設定されています。山本屋本店は卵と漬物込みで約1000円前後、山本屋総本家は卵なしで同程度、卵入りにすると若干高くなるという構造です。

しかし実際のコストパフォーマンスを計算すると、無料の漬物サービスがある分だけ山本屋本店の方がお得に感じられます。特にランチタイムのセットメニューは、ご飯のおかわりも自由なため、しっかり食べたい方にとっては価値の高い選択肢となるでしょう。

ただし、コストパフォーマンスだけで判断するのは早計です。山本屋総本家は名鉄百貨店や松坂屋など都心部のショッピングセンターに店舗を展開しており、アクセスの良さや買い物のついでに立ち寄れる利便性という別の価値を提供していることも考慮に入れるべきでしょう。

味と食感における微妙な差異

  • 麺の硬さと食感の特徴
  • 味噌スープの濃厚さと風味
  • 実際の食べ比べから見える真実

麺の硬さと食感の特徴

両店とも名古屋の味噌煮込みうどんの特徴である「硬い麺」を提供しており、この硬さは他県の方が初めて食べると驚くレベルです。生の麺を直接煮込むため、一般的なうどんとは全く異なる食感を持っており、まるでパスタのアルデンテのような弾力のない硬さが特徴的です。

実際に食べ比べをした方の意見によると、山本屋総本家の方が若干硬めだという声があります。ただし、この差は非常に微妙なものであり、両店とも極めて硬いというレベルであることに変わりはなく、硬い麺が苦手な方にとってはどちらも同じように感じられる可能性が高いです。

この独特の硬さは、味噌煮込みうどんの大きな魅力の一つです。硬い麺だからこそ濃厚な味噌スープがよく絡み、土鍋の蓋で冷ましながら食べるうちに次第に麺が柔らかくなっていく過程を楽しめるという、時間の経過とともに味わいが変化する面白さがあります。

味噌スープの濃厚さと風味

味噌スープについては、両店とも赤味噌を中心とした濃厚な味わいが特徴ですが、鰹出汁の効いた深いコクがあります。見た目は非常に濃く感じますが、味噌煮込みうどんの麺は塩を使っていないため、実際に食べてみると見た目ほど塩辛くなく、バランスの取れた味わいになっています。

多くの食べ比べ体験談では、両店のスープの味の違いを明確に区別することは難しいという結果が出ています。味噌の濃厚さ、出汁の効き具合、全体的な風味のバランスなど、いずれの要素においても両店は非常に高いレベルで拮抗しており、どちらが優れているかを判断するのは極めて困難です。

この味の近似性は、両店が元祖「山本屋」の味を継承しているという事実の裏付けとも言えます。むしろ、これだけ味が似ているからこそ、卵の有無やサービスの違いといった他の要素が店選びの決め手になってくるのだと理解すれば、両店の存在意義がより明確になるでしょう。

実際の食べ比べから見える真実

実際に両店で食べ比べをした多くの方が、味の優劣をつけることが難しいという感想を述べています。プロの評論家でも明確な優劣をつけることが難しく、空腹状態や体調によっても感じ方が変わるため、客観的な比較は非常に困難です。

しかし、これは決してネガティブな結論ではありません。両店とも長年にわたって磨き上げてきた技術と伝統により、名古屋を代表するに相応しい高品質な味噌煮込みうどんを提供しているという証明だからです。

結局のところ、どちらが美味しいかという問いには「どちらも美味しい」という答えが最も誠実です。味の優劣ではなく、訪れた場所の近さ、サービス内容の好み、その日の気分などで選ぶことで、両店それぞれの良さを楽しめるという柔軟な姿勢が、名古屋の味噌煮込みうどん文化を最も豊かに味わう秘訣だと言えるでしょう。

山本屋の本店と総本家についてのまとめ

山本屋本店と山本屋総本家は、名前が似ていることから混同されがちですが、全く別の会社として独自の歴史を歩んできた存在です。それぞれが元祖「山本屋」の味を継承しながら、長年にわたって独自の工夫を重ねてきた結果、名古屋を代表する二大巨頭として並び立つようになりました。

この記事の要点を復習しましょう。

  1. 山本屋本店と山本屋総本家は完全な別会社で、系列店ではない
  2. 創業年は本店が明治40年、総本家が大正14年と表記されているが、実際の営業開始は総本家が先
  3. 本店では卵が標準で含まれ、漬物が無料でおかわり自由
  4. 総本家では卵や漬物が別料金だが、都心部の便利な場所に店舗がある
  5. 味や麺の硬さは両店ともほぼ同じレベルで、どちらも美味しい
  6. どちらを選ぶかは、サービス内容の好みやアクセスの良さで判断するのが賢明

名古屋を訪れた際には、ぜひ両店を食べ比べてみることをおすすめします。味の違いを探すというよりも、それぞれの店が大切にしている伝統やおもてなしの心を感じ取ることで、名古屋の味噌煮込みうどん文化の奥深さをより深く理解できるはずです。

参考リンク

応援のシェアをお願いします!
  • URLをコピーしました!